字幕必須の音バランスの崩壊ぶり。ありがとう字幕。キムタクとニノの共演は見ものだが、肝心の話が中途半端のチグハグ感ありありで全然入ってこない。どう考えても国が～なんて絡める話じゃないだろうになんでこうなるのか。終わった後も何の感慨も無い。はぁ～、終わったぁ～、ではなく、え、終わり？っていう締まりの無さ。容疑者に対しての二宮の罵倒ラッシュが唯一楽しく見られるシーン。国云々抜いてドラマでじっくりやるべき内容。

前から気になってました。終わってみての感想は「これで終わり？」。キムタクが殺した件は？事件未解決？レビュー評価低いことに納得な内容でした。盛り上がりもなく、映画館で見なくてよかった。

色々疑問点が多い映画であることは確かでしょう。例えばセリフが聞き取り辛い録音とか。ロケーション中心の撮影なので、ノイズは有るわけです。通常通りそれを排除するか、そのライブ感で一貫したムードを保つかと言う選択で、後者を選んでいるとは思われます。平岳大の葬式のシーンでダンサーを画面の中心にフューチャーするほど重要な存在とは思われないと言う事もあります。「コクソン」のシャーマンであればストーリーの展開で重要性が高いですが、そうした重要性は感じられません。「燃えよ剣」等でもあまり必然性の感じられないダンスシーンが有りましたが、この作品の方がよりその比重は重いと思えるのです。監督のフィロソフィーとしてその方法が有るのか、もしかしたらジャニーズ的なものへの反発が有るのかも。酒向芳演じる犯人の造形、演技もこれでいいのかなと感じました。ちょっと作為性と言うか、戯画化が強すぎないかなと。アニメ的造形だなと。本来の木村拓哉なら「おかしいでしょ」ぐらい言う感じですが、今回はかなりシリアスに入り込んでいて、頭が冷めないと言う事なのかも。アニメ的ゆえに、どちらかと言うと二宮和也の方が嚙み合わせがいいとも言えます。やはり足元を映すステップの感じが、木村でも二宮でもないと言う点が引っ掛かります。木村拓哉は法律の引く線を越えて正義を掴もうとする男を生真面目に演じています。胡弓を引く奥さんが工藤静香を連想させて笑ってしまいますが、中盤以降存在感が薄くなり、二宮に主役を交代する感じが有ります。二宮は一人で画面が持つタイプでは無いので、監督も画面造りに苦心している様な、吉高由里子と頭を左右にして横たわるカットや、八嶋智人の事務所やその奥さんの設定とかもアニメ的な発想ではないかと。ダンスの扱いを含め押井守的センスを感じる訳です。ただやっぱり取り調べの「パッ」とか最後の「ウォー」とか、意識的表現としても本当に人に響くものはないような気がします。タイトルバックの建築物がシンメトリーになっているのはちょっと期待させるのですが、登場人物が重ねられるセンスがしょぼい(コンテンポラリーでない)と。音楽のセンスも、最後のシーンが森の中の別荘で終わるのもコンテンポラリーでない気がします。ポスト資本主義世界の周回遅れとなりつつある日本で、保守層が脱ルール志向になった時、リベラル層のジレンマを表現している様でそれもまたしょぼい。安倍政権期後半のムードとは言え、同時に東宝製作のムードでもあると。ストーリーに権力批判の意図が有っても、製作体制に多数派志向や権力依存が潜んでいるとも思われる訳です。木村が体制の枠組みを飛び出そうとして、二宮が諫めるとは、二宮に手を汚させないと言う意図が有るのが見て取れ、現実との結びつきはストーリー自体よりも強いと。木村の見る夢は体験的なものでは無く、他者の記憶の想起の中で苦しんでいます。いやこれは…。

沖野と橘の恋愛が無ければ空気穴が無くて見終わった後は息苦しいと思う。おじさま俳優がみんな怪演というのもあるけど、そもそも原作がどうなんだろうね

原作は未読。ネタバレ含むレビューです。原作が小説と知っていたので、2時間に収めるために色々詰め込んでいると思って鑑賞。登場人物のそれぞれのちょっとしたキーワードを盛り込んだ発言や回想で人物の背景を描写。ダンス表現や葬儀部分は監督の表現したい映像なのかなと解釈。邦画的で良い世界感。私自身は好きだけれど、慣れていないとストーリーから引き戻されるかもしれない。最上は安保闘争や学生運動絡みの背景を持った人物を映画で現代版にアレンジしたのかなと思ってみていたけれど、原作の発行年を確認すると最近だったのでほぼこのままなのかなと思った。最上と沖野以外のちょい役のキャラクターも味があってよかった。最上が、松倉が法で裁かれ罰を受けることにこだわって取る選択がとてもよかった。前半はとてもよくまとまっていたけれど、終盤はまとまりきってなかったかなとは思ったけれど、概ね満足できる面白い話だった。原作とどのくらい違うのかが気になり、あらすじを確認したけれど、原作もとても面白そうだった。後半の描写に前半ほどのまとまりを感じなかったのは原作と変えている部分が影響しているのかもしれない。小説としての結末は小説だから味わえる面白い展開だと思った。映画にするならこの結末で良いと思う。

人間って100％のウソをつく人もいないし、100％の真実をしゃべる人もいない。それと同じで100％の正義なんてどこにもない・・・。終盤で吉高由里子がつぶやくセリフですが、これが全てを語っています。キムタクもニノも豪華くせ者俳優陣に助けられてスター独特の存在感をかなり消してる方だと思いますから、普通の映画として楽しめると思います。ただ、セリフがセリフっぽくならないようにするための演出なのか、聞き取りづらいシーンが多いのでー１。日本映画ですけど日本語字幕付きで見ることをおススメします。

前提として述べますが、私は主役2人のファンではありません、、が、キムタクもニノも基本的には演技自体は決して悪くなかったと思います。が、冒頭の松重さんとの対決シーンでは、ニノのまるでコントのような軽い話し方が気になりました。セリフ自体も、無駄に芝居がかった現実味のない、違和感のある言い回しが目立ったように感じました。ただその後の容疑者との取り調べシーンでは一転、圧巻の演技で一気に引き込まれました。セリフ自体は相変わらずの違和感でしたが。本作のセリフ自体の不自然さはあらゆるところで目立ち、違和感を禁じ得なかったです。他のレビュアーの方も書いていましたが、新人検察官の飲み会での会話やキムタクの同僚？との会話のセリフの白々しさにも一気に冷めました。長セリフ故の俳優の早口加減、聞き取りづらさについても他のレビュアーと同様、私も何度も巻き戻しをしながら見る羽目になりました。何より、この映画で1番いらないと思ったのが、、随所に出てくる謎の演出。インパール作戦であるとか、白骨街道、果ては突然の謎のテンポラリーダンス集団の登場や、終盤では奇抜な格好の弁護士の奥さんが出てきたり…非現実的な設定や歴史的、政治的なアイテムが突然何度も出てきて、、本筋と関わらないような演出があまりに多く見ていて？？になったり、失笑してしまったり…混乱させられる場面が多く、疲れました。どうもこれらは原作では無かった部分が多く、監督=脚本家によって加えられた物のようなので、この作品においていえば、あまりこねくりまわさず、冤罪、検察界の問題、悪・・という主テーマに絞っていた方が視聴者に訴え、役者の良さが素直に活かされた作品になったのではないかと思う。映画における監督や演出家の大事さがとてもわかった作品でした。

馬鹿々々しさが合うかどうかで評価の分れる作品ヤンキー＋OL＋古臭いものと新しいものをミックスしたバトル物の王道って感じの映画昔ながらの王道の古臭い強キャラの主人公と今風の普通なのに実は強キャラという主人公。全体的にキャストは一流でわざと狙ったB級のおバカ映画。正直見た感じ昭和時代のような古臭い内容ですがそういうのが好きならとても楽しめると思います。

＜２０２２／２／８ 版＞違和感なく観られる楽しい作品でした。でも序盤、芽郁ちゃんにしたら珍しくカメラを意識してますねぇ・・・ＯＬの感覚が掴めなかったからでしょうか、なかなか観られないシーンです。唯、作品のストーリー性は一貫していてとても良いです。バカリズムが語っていた「大がかりな悪ふざけ」が良く表現され、尚かつ若干の教訓を含ませている。監督が脚本を上手くシーンに載せられた上出来な作品ですね。そして、これだけの役者が出ている中、敢えて主役に抜擢された永野芽郁には、やはり周囲を惹き付ける大きな何かがあるのだと思います。今回はシンプルなコメディでしたが、多くの役者にとって嬉しい言葉は「どんな役でも演じられる」と言うものでしょうか。しかし天邪鬼な私には、それは褒め言葉でないように聞こえます。つまり「ありきたり」と言われているように。「ツブシが利く」と言われているように。そして、その称賛に思える言葉にほだされ、能力や資質を持ちながらも三流になり下がって行った役者達は数知れません。あり得ない話ですが、もし私が俳優になろうと思ったなら、まず多くの作品を観て色々な人達の演技を観察し研究します。そして専門の学校に通って知識や演技を学ぶでしょう。見せ方、見られ方、カメラのアングル、照明の当たり具合、気持ちの込め方、声の出し方・・・等々。そして、それらを一通り学び終えたら、如何にも自分が役者になった気になるかも知れません。バカですから（笑）。物理的な作業、例えば電気の結線、ガスや水道の配管のように形が決まっているモノは、それ自体を学んで行けばいつか最終地点に到達できます。「学んで、慣れて、自分の中で消化し、最終的に自分のモノにする」と言うパターンです。しかし芸術には最終地点がありません。感情の表現は人の数だけあるのに、他人の演技をマネても、自分を表現する妨げにしかなりません。知られているように、芽郁ちゃんは通信制の高校を出ただけです。演技を学びはしましたが、専門的・系統的に時間をかけてしっかり学んだ訳ではなく、その多くを仕事上の体験を通し、自身で試行錯誤を重ねながら学んで来ました。その結果何と、この子は知識や感覚ではなく、演技を感性で捉えるスキルを開花させました。それはドラマ「チャングムの誓い」の中で、味覚を失ったチャングムに対し、ハンサングンが「（あなたは）『味を描く能力』を持っている」と語ったのと似ています。しかし芽郁ちゃんは更に一歩進み、頭の中だけでなく心の中で、独自の形としての演技を瞬時に描くのです。即ち永野芽郁の妙味は、一般的な学習の繰り返しによって得た「想像的な演技力」ではなく、努力と体験によって生来の素地を昇華させた「創造的な演技力」なのです。ですから彼女の瞳は、常に何かを語っています。芽郁ちゃんが映画やドラマをしっかり観る事ができないのは当人が話している通りです。多くの作品を観てマネようとするのは、私のように凡庸な性質を持つ者だけでしょう。とは言え、昔この子が「ジャガイモが蒸発する」と語った時には「次世代のおバカタレント誕生か？」と驚きましたが、その発言からも分かるように、その時の芽郁ちゃんには、既に優れた芸術的素地が隠れていたんだなぁと考えれば、そのトンデモ発言にも不思議と頷いてしまいます（笑）。そして今感じるままを素直に述べるなら、その才能が持つ可能性の大きさは、彼女自身も、その周囲の人々も未だ理解できてはいないでしょうし、理解の及ぶ範囲ではないのかも知れません。唯、その才能をどの方向に向けるのか、そしてどう進んで行くのか、それはこの先１、２年の彼女の選択にかかっているように思えます。以前、北村君が「カットがかかったら、直ぐ永野芽郁に戻る」と話していましたが、これ程のスキルを持つ芽郁ちゃんが、一つ一つのシーンに込める集中力・表現力は、体力と共に相当なモノなのだろうと思います。だからこそ、直ぐ自分に戻らないと心も体も保たないのでしょう。「お芝居は疲れる」と本人が語っている通りです。そして彼女は、自分の演技に影響を与える可能性を持つ微かな環境変化に対してさえ、「恐れ」を感じ取れる謙虚さを持ったプロ意識の高い子なのです。芽郁ちゃんはいつも、自分の払って来た努力の極一部を控え目に語るだけですが、ホントに凄い子です。勿論どれ程優れた役者でも、監督や脚本に恵まれなければ、結果として良い評価にはつながりません。芸能界には映画監督と称される様々な人達がいます。「監督に意見する役者は二度と使わない」と言う人もいますし、その考え方が分からない訳ではありません。しかし純粋に良い作品作りを求める監督であれば、それが小道具であれ役者からの意見であれ、必要と思われるあらゆるモノをすべて吟味したいと考えるでしょう。もし私が監督なら、自分がイメージしている表現さえも超えてくれる役者を使いたいと考えます。そして、それを可能にする芽郁ちゃんは、これからも引っ張りだこになる事は目に見えています。それが見えているからこそ、この子の体調面に目が行ってしまうのは、親の世代ならではの心配なのかも知れません。流石に寝る直前に食べるのは止めたようですが、この子は塩とラーメンを主食とする星のお姫様ですから、以前作ったガム蕎麦で分かるように、料理も大したモノは作れないでしょう。しかし、今のようにプロモーションで大きな流れが決まってしまう芸能界で、つまり当てられた光を自分の実力と勘違いしてしまう役者の多い世界で、自ら輝いて演技を描ける彼女は、国内外を問わず、本物を見る目のある製作者達の記憶に留まって行くだろうと思います。